【伝統的工芸品のご紹介】~大谷焼(徳島県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~大谷焼(徳島県)~

【名称】

大谷焼(おおたにやき)

 

 

【大谷焼の産地】

徳島県鳴門市大麻町(なるとしおおあさちょう)

 

 

【大谷焼とは?】

約230年前から徳島県鳴門市大麻町で生産されている陶器です。

「登り窯」のサイズは日本で一番大きいと言われており、大型の陶器でも問題なく焼くことができます。

大型の陶器だけではなく、食器や茶道具などの日常生活で使用する品々、

さまざまな装飾品など幅広く作られています。

一般的なのはこげ茶色ですが、銀色など彩りのある作品も製作されています。

 

2003年9月、伝統的工芸品に指定されました。

現在、大麻町にある窯元は6軒です。

 

 

【大谷焼の特徴】

大谷焼の特徴は、「土」と「製法」です。

土は、地元・大麻町で採取される「萩原粘土」「姫田粘土」「讃岐粘土」を基本に、

これらと同様の粘土を主原料としています。

鉄分が多く含まれているのが特徴で、「ざらざらした感じの風合い」「わずかに光沢をもつ質感」に

親しみを感じるファンが多く存在します。

 

製法で代表的なのは、「寝ろくろ」。

人間の身長ほどある大きな甕(かめ)を作るとき、用いる製法です。

作業台の下に寝転んだ職人たちが、自身の足でろくろを蹴って回すことから、この名が付けられました。

 

 

【大谷焼の歴史】

大谷焼が始まったと言われているのは、1780年です。

豊後国(現在の大分県)の焼き物細工師・文右衛門が、大谷村(現在の鳴門市大麻町)を訪れました。

その時に赤土を使って、ろくろ細工による陶器を製作したそうです。

 

翌1781年、当時の徳島藩では珍しかった陶器に興味を持った11代藩主・蜂須賀治昭が、

藩が運営する窯(=藩窯)を築きます。

ここで、阿波国(現在の徳島県)で初めてとなる染付の陶磁器が製作されました。

しかし残念ながら、藩窯はいったん閉鎖されてしまいます。

(閉鎖の原因は、九州から高額の原材料費を取り寄せていて、採算が合わなかったため)

 

1784年、「連房式登窯」が村内に築かれ、日常生活で使用する陶器を焼く「民窯」になりました。

 

参照元:Wikipedia

 

この窯の建設には、藍商人である賀屋文五郎が尽力したそうです。

また、信楽焼の職人からの指導によって、陶器作成に必要な伝統的技術を学んだのが「納田平次平衛」。

彼が中心になり、陶器生産をスタートさせたのが、大谷焼の原型であると言われています。

 

 

【大谷焼の製作工程】

①土の粉砕

大谷焼の原料となる土を準備したら乾燥させ、その後、細かくするために打ち砕きます。

 

②ふるいにかける

砕いて細かくした土をふるいにかけ、不純物を取り除きます。

 

③水簸(すいひ)

不純物を取り除いて精製できたら、水槽の中に入れて撹拌します。

土を撹拌しつつ、別の水槽に流し入れながら、土を少しずつ移し替えていきます。

土を移動させたら、ふるいで不純物を取り除き、陶土が沈殿してくるまで放置しておきます。

なお、陶土とは、陶磁器の製作時に使う粘土です。

陶土が沈殿したら盛り鉢に移し、今後の作業がしやすくなる固さになるまで、さらに置いておきます。

 

④土練り

まず行うのは、陶土の柔らかさを均一にするための「荒練り」です。

適度な固さになった陶土を円い形に広げたら、その上に裸足になった職人が乗ります。

しっかりと陶土を押し出すように、両足で力強く踏みつけていきます。

 

次に行うのが、陶土の中に含まれている空気を抜く「菊練り」です。

荒練りが完了した土を回しながら、じっくり練り込んでいきます。

 

⑤成形

参照元:阿波ナビ

 

土練りまで終わった陶土をろくろに移し、手作業で成形します。

もし大型の作品を製作する場合に用いるのが、2人1組になり、先述の「寝ろくろ」と呼ばれる伝統的な製法です。

1人が足で蹴るようにろくろを回し、もう1人が成形していきます。

 

⑥乾燥

成形した作品は、屋内で乾燥(陰干し)させます。

目安となる乾燥期間は、以下の通りです。

・小型作品 → 2~7日間ほど

・大型作品 → 20日間ほど

 

陰干し後、今度は天日干しします。

目安となる乾燥期間は、以下の通りです。

・小型作品 → 1日

・大型作品 → 2~3日

 

⑦施釉(せゆう)

施釉とは、釉薬を作品にかけていく作業です。

釉薬とは、作品に液体がしみ込むのを防ぐために用いられる粉末で、焼成によって溶けてガラス質になります。

また、表面に光沢を出す効果もあります。

 

施釉の方法として主に使われるのは、下記3つです。

・生掛け

施釉を行うだけで、素焼きをしない方法

 

・浸し掛け

素焼きが終わった作品を、釉薬に浸す方法

 

・流し掛け

作品にひしゃくなどを使って、釉薬を流し掛けていく方法

 

施釉後に素焼きを行いますが、窯の温度を約800℃にし、8~16時間かけてじっくり焼きます。

 

⑧窯詰め

窯詰めとは、作品たちを窯の中にきちんと並べていく作業のことです。

 

⑨焼成

約1200℃に温度を設定し、作品を焼き上げていくのが焼成です。

焼成する窯には、以下の3種類があります。

・登り窯

一般的な焼成日数は、5~6昼夜

 

・電気窯

 

・ガス窯

一般的な焼成日数は、1~2日

 

⑩検品・完成

焼成後、作品を窯から出したら、ひとつずつ割れや亀裂などがないか、チェックしていきます。

無事に検品が完了した作品は、完成品として販売され、お客様のもとへと届けられます。

 

 

 

 

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