【伝統的工芸品のご紹介】~南部鉄器(岩手県)~
2019.03.22 伝統工芸品について
歴史
900年の歴史を誇る南部鉄器は、旧南部藩主の城下町を中心とした地域で生産される鋳造鉄器です。
この地では良質な原材料が容易に採取されることから、鋳物業が栄えたと言われています。
1975年、国が指定した伝統工芸品第1号として指定されました。
製作工程(南部鉄ティーポットの場合)
①デザインアイディアを書き出す
フリーハンドの曲線は、コンピューターでは表現し難い独特の温かさや存在感を生み出す。
②デザイン図を基に製品の原型モデルを石膏で製作する
この原型モデルの出来の良し悪しが、その後の製品の仕上がりに大きく影響する。
③原型モデルを基に金型を製作する
砂(珪砂)に金型で圧力をかけ、メス型となる砂の鋳型を造型する。
④約1500℃で溶かした鉄を鋳型に流し込む
型全体にまんべんなく鉄が流れ込むように、注ぎ込むスピードや量を長年の経験や勘で調整しながら
鋳型に流し込んでいく。
⑤ショットブラストという方法で、鋳型から取り出した鉄瓶に付着している型砂を落とす
⑥塗装工程の前に、鋳型のパートライン等に出来た突起やエッジなどを丁寧に擦り落とす
⑦ティーポット内部に錆び止めのホーローを施す
釉薬をムラなく吹き付けてから電気炉で焼成することで、綺麗なガラス質になる
⑧外面に吹き付け塗装を行う
「余分な色の拭き取り→乾拭き磨き」という工程を経て仕上げていく
⑨一つ一つ入念に検品を行い、茶こしや取っ手を取り付けて完成
「ティーポット」と「鉄瓶」の違い
・鉄瓶は直火にかけられる。
・ティーポットは内側にホーロー加工が施されている。
※鉄瓶からとけだす鉄分が体に良いとされています。
なお、ティーポットはホーロー仕上げをしているので鉄分は出ません。
※丈夫で長持ちする鉄瓶は、使い込むほどに風合いが出てきます。
錆止め技法の由来
明治の盛岡大火時、焼けた蔵にあった盛岡大火鉄瓶から金気がいつまでも出なかったため、
錆止めの技法として広く用いられるようになった。