【伝統工芸品のご紹介】~表具(日本屏風)~
2019.07.23 伝統工芸品について
【歴史】
屏風は和紙と木でできた、日本で独自に発展した調度品です。
部屋の仕切りや装飾に用いる家具で、小さなふすまのようなものを数枚つなぎ合わせて折りたためるのが特徴です。
使い方によって、空間をさまざまな雰囲気に演出してくれるでしょう。
歴史的に屏風は、特別な場所に置かれていました。
また、中世では輸出品として珍重され、外国への贈答品としても使われていました。
近世では安土桃山時代から江戸時代にかけ、権力者たちが巨大な屏風に金箔などを使ったきらびやかな絵を描かせ、
富と権力を誇示する道具として用いられた歴史があります。
【制作工程】
①作り
素材は国内産の杉を使い、四方の外枠と内側の格子状に組んである骨と呼ばれるもので形成される。
※角材の杉を丁寧に削り、釘や金具を使わずに接着剤を間に入れて木槌で一つ一つ手作業で組んでいく。
②下貼り
蝶番をつけた枠に基礎となる紙を貼っていく。
※通常、紙を貼る際は、紙の四隅に糊付けをしていくが、強度を増すために枠の骨にも糊を付け、
骨があばれないように紙に接着させていく。
空気の層を作るため、薄手の和紙をずらしながら貼っていく。
※屏風の大きさによって枚数は変わる。
薄い糊を全面につけた薄手の和紙を、皺にならないようになで刷毛を用いて、丁寧に蓑貼りの上に貼る。
※空気の層を閉じ込め、一層強度が増す。
和紙を袋状にして貼っていき、再度空気の層を作り強度を増し、本紙を貼った際にふっくらとした感じを出す。
※再び薄い糊を全面につけた薄手の和紙を、皺にならないようになで刷毛でなでながら下貼り全体を押さえ込む。
③蝶番(組み合わせ)
羽根が付いている枠同士を組み合わせていく。
※後に「本紙」「裏紙」、へりを貼った時の厚みを考慮して「厚紙」を挟み、隙間を作りながら組み合わせる。
④本紙貼り
下貼りをしっかり施した枠にいよいよ本紙となる紙を貼っていく。
※本紙の裏側に湿り気を与えることで紙が伸び、乾燥させた後縮むので、しわの出ない綺麗な仕上がりになる。
本紙の四隅に糊を付けていき、皺にならないようになで刷毛を使い四方を折り込んでいく。
⑤裏紙
枠のサイズに裁断した布地を裏面に貼っていく。
※本紙と同様に布地の裏に湿り気を与え、四方に糊を付け、なで刷毛を使って折り込んでいく。
⑥へり
屏風らしさを出すため、本紙の四方にへりを付けていく。
※織物で出来ている裏打ちされた反物を枠の大きさに応じたサイズに裁断し、糊で左右ずれないように貼っていく。
⑦仕上げ(椽、金具打ち)
カシュー塗りされた椽を、枠の上下左右に打ち付けていく。
最後に椽の上に飾り金具を付けて、屏風の完成。
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