【伝統工芸品のご紹介】~石見長浜面~
2019.07.11 伝統工芸品について
【石見神楽と神楽面】
島根県石見地方は、神楽が盛んです。
もともと収穫期に自然や神への感謝をあらわす神事として、お面は夜を徹して神社に奉納されていました。
石見神楽は日本神話を源拠とし、演目も豊富で極めて多彩であることが特徴です。
明治(1868年頃~)に入ると、氏子を中心とした神楽の団体が次々と結成され、
伝統芸能として現在でも受け継がれています。
一針一針、丹念に縫込んで作られた豪華絢爛な衣装も、石見神楽の大きな特徴の一つです。
また、勇壮でテンポの速い石見神楽に欠かせないのが、
軽くて丈夫な石州和紙(ユネスコ無形文化財)で作られた『石見神楽面』です。
【製造工程】
- ①粘土で面になる原型を作る。
- ②乾燥後、和紙を幾重にも貼り重ねる。
- ③和紙が乾いたら、原型を崩しながら型から外しとる。
- ④型から外した面の裏に、柿渋を塗り乾燥させる。
- ⑤目・鼻・毛を植える部分に穴をあける。
- ⑥胡粉を幾度か塗り、乾燥させる。
- ⑦彩色・絵付けをする。
- ⑧毛を植える
【石州和紙】
石州和紙は、島根県石見地方で製造される和紙です。
その起源は704年頃まで遡り、国の重要無形文化財、伝統的工芸品、無形文化遺産の指定を受けています。
また、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
今日の社会環境や世界情勢の変化によって、後継者や原材料不足等の問題が出てきています。
しかし、この貴重な伝統技術を末永く保存・伝承するために、懸命な努力が積み重ねられています。
【縁起物】
近年、神楽面は縁起物としても需要が旺盛になってきており、
神楽舞だけではなく、新築祝や記念品などの贈物としても珍重されています。
【柿渋:自然塗料】
渋柿の未熟果を擦り潰した汁を発酵させて濾過したものを、柿渋(かきしぶ)と言います。
柿渋液の中に含まれる柿タンニンには「防水・防腐・防虫効果」があり、太古の昔より自然塗料として使われてきました。
【焼杉】
伝統的な建物の外壁材料として使われていました。
あらかじめ表面を焦がし炭化状にしておくことで、初期の着火性を低くして耐火性能を持たせます。
また、風雨にさらされる杉板の耐久性を高める役割も担います。