【伝統工芸品のご紹介】~薩摩錫器(さつますずき)~
2019.08.6 伝統工芸品について
【歴史】
錫鉱山は、1656年に薩摩藩・島津公の命令により採掘され、既に350年以上が経ちます。
当時、金銀とならぶ価値の高い金属であった錫は、薩摩藩の大きな財源でした。
当初は高級品として扱われていましたが、生産量の増加から次第に一般家庭でも使われるようになっていったのです。
現在、鹿児島では錫は産出されなくなりました。
しかし、鹿児島の伝統工芸品として、現在も伝統的な技法は受け継がれています。
【特徴】
薩摩錫器の特徴は、「深みのある色あい」「ずしりとした重量感」「手触りのよさ」です。
錫器の美しさは銀器と同様ですが、銀器と違い変色することがないのでお手入れがとても簡単です。
錫器は熱伝導性に優れているので、保温や保冷に最適です。
また、錫の特性の一つに「水に含まれている不純物の除去」があるので、
水を入れて飲むと滑らかで美味しくなります。
※ピューターで出来た製品は、錫91%~93%を主成分とし、残りはアンチモンと銅を混ぜ合わせて作られたものです。
【制作工程】
①金型内に溶融材料(錫)を注入して基本形状を作る
②面を削って形作る
③表面を研磨する(まるで鏡のような状態になる)
※または、酸化液にひたすことで表面を腐食させ、粗い手触りにすることもできる。
上記は製造方法の基本的な流れです。
1つの商品を作るまでには多くの細かい作業があり、熟練した職人の技術があってこそ完成させることができます。
100年前に使われていた茶葉入れでも緑茶の香りが保たれていた理由は、まさに伝統技術がなせる業です。
密閉度の高さ
薩摩藩を代表する偉人・大久保利通の愛用していた茶壷が、100年ぶりに発見された時の逸話があります。
茶葉の風味と色合いはいささかも損なわれていなかったそうで、当時の驚きは今でも語り継がれています。
【岩切美巧堂について】
岩切美巧堂は鹿児島県の企業で、創業100年を超える最も優れた薩摩錫器のメーカーです。
薩摩錫器は、現在の鹿児島県が「薩摩」と呼ばれていたころに起源を発し、
鹿児島県指定伝統的工芸品にも選ばれています。
岩切美巧堂のギャラリーでは数多くの商品を展示しており、お買い求めいただくことも可能です。
伝統美あふれる岩切美巧堂の作品を求めて、日本国内はもとより世界中から人々が訪れています。
【レクサスと岩切美巧堂】
レクサスは日本が誇る最高級車の一つです。
世間的にはあまり知られていませんが、実は、岩切美巧堂がレクサスのエンブレムを手掛けています。
レクサス側からの要望に何度も応え、数ヶ月にわたり試行錯誤を重ねた結果、
世界に1つしかないエンブレムを完成させることができました。
岩切美巧堂は、この様な輝かしいチャレンジに再び挑戦できる企業であり続けるでしょう。
【過去の皇室献上】
- ・昭和10年(1935年) 梨本宮殿下へ献上
- ・昭和37年(1962年) 皇太子両殿下へ献上
- ・昭和48年(1973年) 三笠宮寛仁親王殿下へ献上
- ・昭和59年(1984年) 天皇陛下へ献上
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